ある日突然トレードや送金ができなくなってしまった。実は、少し前に外部のウォレットに暗号資産を移転したことがあったが、そのときに取引目的を確認するメールが来ていたようで、そのメールを見落としたまま回答期限が来てしまい、取引が停止されてしまった。
暗号資産交換業者は、法令に基づき、本人確認やモニタリング等を行うことが義務づけられています。このため、利用者に対して確認の連絡を取ることがあります。このような連絡に対しては、期限までに回答する必要があり、回答しなかった場合は取引の停止や口座の凍結が行われ、一切の取引ができなくなることがあります。
連絡がメールで届くこともありますが、取引所から送信されたように見えるメールが、実はフィッシングメールである可能性もあるため、正式な手続きであることを確認することが必要です。取引所から送信された正しいメールであることを確認できない場合は、取引所に問い合わせ、実際に取引所から送信したものかどうかを確認すると良いでしょう。
なお、取引所の中には、公式のサイトやアプリからはこのようなメールを送信した事実やその内容を確認できない場合や、このようなメールを送信した事実を回答しない方針としている場合もあります。
暗号資産交換業者の方へ
暗号資産交換業者においては、利用者への連絡にはログイン後のお知らせや公式アプリやメッセージアプリの公式アカウントによる通知など複数の連絡手段を利用することが必要です。
ブックマークや公式アプリのインストールを推奨し、メールの本文に直接URLを掲載することは避けるべきです。
なお、電子メールを利用する場合は、S/MIMEやDMARC等のなりすまし防止策の導入を検討するとともに、本文にURLの記載を控え、その旨をメール本文や公式サイトに記載することが必要です。また、利用者が事前に事業者に登録したメッセージ(合い言葉)をメール本文に掲載するなど、メールが当該事業者から送信されたものであることの確認手段を提供することも有効です。
参考情報
投資の勉強のためにセミナーに参加した。セミナーでは、日本の暗号資産交換所にはまだ上場しておらず、これから高成長が見込まれるらしい暗号資産が紹介されていた。セミナー参加者に限定してその暗号資産を販売するとのことだったので、購入を申し込んだ。その後、購入した暗号資産の価格が上昇し利益が出たので、売却して日本円残高の出金を請求したが、いつまでも応じてもらえない。
セミナーやSNS、グループチャット、ならびに友人・知人を介しての勧誘や紹介を通して、悪質な暗号資産の販売が行われている場合があります。
暗号資産の販売など行う暗号資産交換業を日本国内で営業できる事業者は、金融庁Webサイトにすべて記載されており、記載のない事業者が暗号資産を販売することは認められていません。
日本国内で営業しているのに、金融庁に登録されていない暗号資産交換業者は、詐欺や悪質商法等である可能性や、不適切な暗号資産を取り扱っている可能性、極めて高額な手数料が設定されている可能性、暗号資産の流出等を防ぐ管理体制が十分に整備されていない可能性、消費者保護のための体制が十分に整備されていない可能性等があります。
国内で営業が認められた暗号資産交換業者は、金融庁が公表する暗号資産交換業者登録一覧に掲載されています。
また、無登録の業者の一部は金融庁のWebサイトで確認することができます。
なお、警告されていない無登録の事業者が、問題のない事業者であるとは限りません。