好きなクリエイターの作品がNFTになったと聞いて購入したが、後になってNFTの販売元はクリエイターからライセンスを受けずに勝手にNFTを作成していたことが発覚した。
NFTは誰でも簡単に作成することができるため、正当な権利者でない人物や正規のライセンスを受けていない人物によって作成されたNFTも存在します。
購入しようとしたNFTが正規のものであるかどうか、権利者や販売元の発表等から、自身でよく確認しましょう。権利者や販売元からの情報発信が虚偽や誤り、なりすまし、乗っ取りでないかにも注意が必要です。NFTの審査が行われるNFTマーケットを利用するのも手です(その場合にも、自身での確認を重ねて行うことを推奨します)。
なお、十分に確認を行ったとしても、あとから権利上のトラブルが生じることもあります。
自身が保有するNFTの画像をSNSのアイコンにしていた。権利者から発行された本物のNFTであり、自分は自由に使う権利があるはずだと思っていたが、ある日、権利者から著作権侵害を指摘された。
画像に紐付いたNFTを保有しているとしても、その画像を自由に利用・改変できるとは限りません。
NFTが何を表すかはNFTのライセンスによって異なります。NFTが何を表しており、NFTの保有者に認められている利用可能な範囲は、その都度ライセンスをよく確認する必要があります。
SNSのアイコン設定やメタバースでの利用など、自身が保有するNFTを連携させて活用できるサービスもありますが、そうしたサービスは一般的に、NFTの利用可能な範囲を確認することはありません。自身が保有するNFTを利用する場合は、自分自身でNFTのライセンスや契約内容を確認して判断する必要があります。
ライセンスや契約に違反すると、損害賠償請求や、悪質な場合は刑事罰の対象となる可能性があります。
NFTマーケットを眺めていると、気になっていたNFTコレクションの作品が少し安めに出品されていたのでチャンスだと思って購入した。その後、コレクション保有者限定のSNSコミュニティに参加しようとしたが、NFTの保有認証の手続きがうまくいかず、参加することができない。問い合わせたところ、購入したNFTは偽物だった。
NFTは誰でも簡単に発行することができるため、正規のNFTと全く同じデータを持つ偽のNFTが作成され、販売されている可能性があります。
NFTは、「偽造を防止する技術」や「真贋判定ができる技術」などと言われることがあります。たしかに、事前に正規のNFTをブロックチェーン上で特定できていれば、正規のNFTとそれ以外の偽物のNFTとを区別することができます。しかし、偽物のNFTは存在します。NFTだからといって、それだけでは本物であることを意味しません。
権利者や発行元からのアナウンスから、NFTが販売されるURL(一次販売の場合)や、ブロックチェーン上のNFTのスマートコントラクトアドレスを確認してから購入しましょう。権利者や発行元からの情報発信がなりすましや乗っ取りでないことも確認が必要です。
欲しかったNFTの限定販売が行われると聞いた。案内されたURLからNFTを手に入れようと暗号資産を支払ったが、NFTが発行されない。
SNS等でNFTプロジェクトやその運営関係者になりすまして偽の案内を行い、資産をだまし取る手口が存在します。
NFTの販売についての案内に従う場合、発信元や発信内容は慎重に確認しましょう。
とくに、同名やよく似た名前の偽SNSアカウント等に注意しましょう。SNSには、表示名をNFTプロジェクトと同名にした偽のアカウントが存在することがあります。場合によっては、認証済みバッジ等が表示されている(無関係の)認証済みアカウントを乗っ取ったうえで表示名を変更し、NFTプロジェクトとして信頼できるアカウントのように見せる偽アカウントも存在します。
さらに、NFTプロジェクトの正規アカウントが乗っ取られてしまい、正規アカウントから偽のアナウンスが投稿されることも考えられます。
人気のNFTは入手が困難なことがありますが、なかなか手に入らないことで焦ってしまうと、騙されやすくなります。また、人気の高いものほど、騙されやすいタイミングを狙ってくることが多いことから、まずは落ち着いて情報を確認し、裏付けのない情報に基づく販売の機会には参加しない、という選択肢を持つことが重要です。
トレード目的でNFTを購入し、価値が上がったら売却しようと思っていたが、気づくとほとんど価値がつかなくなっていた。
高額で取引されたNFTが話題になりますが、NFTは買ったときよりも高く売れるとは限りません。あるときは高額で取引されたNFTでも、ある時にはほとんど価格がつかない場合があります。
Twitterの共同創業者であるジャック・ドーシー氏の最初のツイートがNFT化されたものは当時のレートで3億円以上で購入されましたが、その後、オークションに掛けられた際の最高入札額は当時のレートでたったの3万5千円でした。
NFTは、売却しようとすると購入時と比べて大きく価格が下がる場合や、全く買い手がつかずに売却できない場合があります。特に、NFTを売買差益を狙って購入する場合は、価格変動リスクが大きいことに注意しましょう。
自分が欲しいと思ったNFTを保有し続ける目的で購入する際にも、一過性のブームで価格が急騰しているだけではないのか、本当にその価格を支払ってでも購入しなければならないか、冷静に判断しましょう。
趣味でNFTをコレクションしていて、どうしても手に入れたいNFTがあった。自分にとってはすこし大きな買い物になるが、もしもお金が必要になればそのNFTを売却して現金化すればよいと考え、思い切って購入することにした。その後、急な出費が必要になってしまいそのNFTを出品したが、なかなか売れなかったため価格を下げていき、結局買ったときの半額で売却することになってしまった。
NFTを売ろうとしたときに、すぐに買い手が現れるとは限りません。すぐに現金化したければ価格を下げなければならない場合や、価格を下げても買い手が現れない場合があります。NFTはいつでも現金化できるものとは考えないようにしましょう。
自身に万が一のことが発生した場合に必要になる資金(生活費や医療費)や、期限までに必要になる支払い金額(税金、ローン返済)等に相当する資産としてNFTを保有してしまうと、現金が不足して借金が必要になったり、破産したりする恐れがあります。
売買されるたびに価格が上昇している人気のNFTを見つけ、投資のつもりで購入した。しかし、自分が購入したあとは買い手が現れず、結局購入したときよりも安い価格で手放した。
特定の人物やグループが見せかけの取引を行い、NFTの価格がだんだん上がっているようにみせかけて購入を誘う、ウォッシュトレード(仮装売買)と呼ばれる手口があります。
NFTを取引するマーケットによっては、匿名で取引することが出来ます。匿名で複数のウォレットを作成し、同一人物の複数のウォレットの間でNFTの取引を繰り返しても、第三者からは、実際に複数の人物の間で行われている取引なのか、1人の人物による見せかけの取引なのか見分けることは困難です。NFTの本来の市場価値より著しく高価な価格で購入してしまい、購入時よりも安く売ることしか出来なかったり、そもそも価格が付かずに売ることが出来なかったりする場合があります。価格が上がっているからと言って、取引が活発に行われているとは限らず、購入後に価格が上昇していくとは限らない点には注意が必要です。
NFTキャラクターで遊ぶことができるゲームの開発プロジェクトが発表され、NFTの先行販売が行われた。ハイクオリティな予告動画に期待して高額なNFTを購入し、リリースを心待ちにしているが、リリースの延期が繰り返され、いつまでも完成しない。
将来完成するプロダクトでNFTが利用できるようになると宣伝して、プロダクトの開発前にNFTの販売が行われる場合があります。
こうしたプロジェクトの中には、スケジュールの延期が繰り返されていつまでも完成しないものや、開発が行われず、そのまま連絡がとれなくなるものも存在します。また、完成しても事前に期待したものとは大きく異なる完成度や内容となる場合もあります。
プロダクトリリースを見込んでNFTを購入する場合には、完成見込みの妥当性、開発元・販売元の実在性、なりすましでないこと、購入時の契約内容などを慎重に確認しましょう。